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原告の登録商標「SARACARES」に対し、参加人が自身の「ZARA」のシリーズ商標に近似してい るとして異議申し立てを行った結果、原告商標の識別要部である前半部「SARA」と参加人の商標「ZARA」は、外観および称呼において近似するため、双方の商標は少なからず類似度しており、「SARACARES」商標は登録できないものであると判断された。
智慧財産および商業法院110 年度行商訴字第7 号判決
[ダイジェスト]
原告の登録商標「SARACARES」に対し、参加人が自身の「ZARA」のシリーズ商標に近似しているとして異議申し立てを行った結果、原告商標の識別要部である前半部「SARA」と参加人の商標「ZARA」は、外観および称呼において近似するため、双方の商標は少なからず類似度しており、「SARACARES」商標は登録できないものであると判断された。
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概要
原告は、「SARACARES」の商標(以下「係争商標」という。)について第16、35、36類の商品・役務を指定して登録出願を行い、係争商標は被告である智慧財産局により登録された(登録第01876420号商標)。その後、参加人であるスペイン企業のインディテックス社(INDUSTRIA DE DISENO TEXTIL, S.A. (INDITEX, S.A.))は、係争商標が商標法第30条第1項第10号、11号、12号に違反するとして、異議申し立てを行った。被告は、係争商標の指定商品中、第16類の商品および第35類の一部役務について、商標法第30条第1項第10号に違反することを認め、第16類の商品および第35類の一部役務についての登録を取り消すべき旨の決定を下した。原告はそれを不服として、訴願および本件訴訟を提起した。
判決理由:
係争商標は、デザインが施されない「SARACARES」の大文字で構成され、「SARA」および「CARES」の組み合わせとして認識されるものであり、そのうちの「CARES」は「関心」や「配慮」を意味する一般に馴染みのある英単語である。一方、「ZARA」「ZARA HOME」「ZARA FOR MUM」の商標(以下「本件商標」という。)も、それぞれデザインが施されない「ZARA」「ZARA HOME」「ZARA FOR MUM」の大文字で構成され、そのうちの「HOME」および「MUM」はそれぞれ「家」および「母親」を意味する一般に馴染みのある英単語である。双方の商標を比較すれば、これらの商標はデザインが施されないアルファベットで構成されており、強い印象を与える語頭にある「SARA」と「ZARA」の文字は、外観および称呼において類似している。一般的な知識・経験を持つ消費者にとって、時と場所を異にして離隔観察する際、または実際の取引においてそれぞれを一連に称呼する際、両者は紛らわしいものである。したがって、双方の商標は構成が類似しており、しかもその類似度は低くないと言える。
また、商標は全体の図案で表現されるものとはいえ、消費者が関心を払うのは、そのうちの比較的顕著な部分であると考えられ、この顕著な部分が「主要部分」である。この「主要部分」は、消費者の商標に対する全体的印象に影響を与える。係争商標および本件商標の構成において、消費者が注目するのは前半部の「SARA」および「ZARA」であり、前半部の文字と結合した「CARES」「HOME」「FOR MUM」の部分は付記的な印象を与えるにとどまる。よって、双方の商標は少なからず類似しているため、台湾商標法第30条第1項第10号の規定により、係争商標は、使用指定された第16類の商品および第35類の一部役務について、登録できないものであると判断される。