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曖昧な記載の契約書はトラブルのもと
【係争商標】
【概要】
係争商標は、すでに解散したC社が2016年7月にB氏に譲渡した商標である。2016年8月、A社とB氏は商品を共同でカルフール(Carrefour S.A.)に販売するために、提携契約(以下、係争契約という)を締結し、この係争契約には、B氏が所有する係争商標、「E-TEK」、「廚藝家」などの商標権について使用許諾に同意することで 双方の共有とする旨が定められた。A社は、B氏がこの契約に基づき、係争商標をAB双方で共有するために商標権移転手続きを行うべきであると主張し、B氏に手続きを進めるよう再三促したが、B氏は応じなかった。A社はB氏を提訴し、係争契約に基づき係争商標について移転手続きを行いAB双方で共有することを求めた。
【判決ダイジェスト】
一、「意思表示を解釈する際、当事者の真意が探求されねばならず、表現の文字どおりの意味に拘泥してはならない」と台湾民法第98条に規定されている。
二、両者の提携方式、証人の証言、契約の目的から、係争契約における当該条文の真意は、両者が係争商標を共有することにあるのが分かる。
三、よって、係争契約第1条第1項における使用許諾に同意することで双方の共有とする旨の記載が、係争商標をAB双方が共有することを示していると解釈されるべきである。
110(2021) 年度民商上更(一)字第 2 号智慧財産及び商業法院民事判決