スペシャルコラム
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台湾で利用できる特許(中国語:発明専利)の早期審査制度にはPPH(特許審査ハイウェイ)やAPE(加速審査)といったプログラムがあるが、意匠(中国語:設計専利)の早期審査制度は存在しない。現在、台湾における意匠の審査には、通常7〜10カ月程度を要する。智慧財産局(台湾特許庁)が発行した「智慧財産権月刊」では、同局の委員である黃少瑜氏と張雅筑氏が、日本、米国、韓国及びオーストラリアの意匠早期審査制度を研究し、関連情報をまとめた。将来、台湾も意匠審査制度に導入する際に、他国の制度のメリット、デメリットを参考にすることができる。
早期審査の条件
現在、いかなる条件も課さない米国を除き、日本、韓国、オーストラリアの3カ国はいずれも、関連条件を満たしていれば早期審査を申請することができる。例えば、日本では、模倣品防止の必要があり、すでに意匠が実施されている、もしくは実施の準備を終えている、または対応外国出願があるという条件があり、オーストラリアでは、公益性を考慮する必要がある、または特殊事情があるという条件がある。各国とも、業界の特性や政策ニーズに応じて、異なる条件を定めている。
費用について
米国では、申請に条件はないが、審査費用が高額であり、一般な申請の費用は約5万新台湾ドル(約22万4千円)である。韓国では、条件を満たせば、約千新台湾ドル(約4千円)しかかからない。
審査期間
米国では、一般出願の審査期間は長めの18カ月程度を要するが、早期審査の場合、1回目のオフィスアクションが届くまでの平均期間は2カ月である。日本、韓国およびオーストラリアの一般出願における1回目のオフィスアクションが届くまでの期間は約6カ月以内であり、早期審査の場合は約2カ月である。
まとめ
現在、台湾における一般審査の期間は、日本、韓国、オーストラリアより若干長く、米国より短いとされている。今後、早期審査制度が台湾に導入されれば、最初のオフィスアクションが2カ月以内に届く可能性もある。米国のような費用は高額であるが制限のない制度が採用された場合、早期審査を検討する際、審査期間を約半年短縮するためにどれだけのコストを費やせるかが考慮される。しかし、費用が高額ではなく、誰もが早期審査を選択した場合、早期審査の申請数が激増することで、審査期間が長くなり、一般審査と大差なくなってしまう可能性はある。実際には、さまざまな理由から早期審査を希望する出願人がいるため、早期審査制度の実施は歓迎されるであろう。
参考:智慧財産局 https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-400-914769-5cac1-1.html