商標が他人のキーワード広告に用いられた場合、商標権者は権益保護のために公平交易委員会に通報できる
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商標が他人のキーワード広告に用いられた場合、商標権者は権益保護のために公平交易委員会に通報できる

商標が他人のキーワード広告に用いられた場合、商標権者は権益保護のために公平交易委員会に通報できる

他人の商標をキーワード広告に使用

事例の概要(公處字第112055号)

 

  1.  被処分者は他人の商標を、「iMAT 切割墊」(カッティングマット)、「iMAT 翻轉切割墊」(フリップカッティングマット)、「iMAT 折疊切割墊」(折りたたみカッティングマット)の3種類の商品態様のキーワード広告に使用した。
  2.  公平交易委員会(公正取引委員会に相当、以下「公平会」という)は、キーワードの不当使用により消費者が正確な情報を得ることを妨げ、検索コストを増加させ、さらには、商標とキーワード広告の商品が同一の出所であるか、両事業者の間に関連があるかのような誤解を消費者にもたらし、他事業者の経済的利益を損なう可能性があると考えた。
  3.  したがって、公平会は「他人の商標を広告のキーワードとして使用する行為」は「取引秩序に影響を与えるに足る行為」であると判断し、公平交易法(公正取引法に相当)第25条の規定に違反したとして、同法第42条に基づき、被処分者に新台湾ドル10万元の罰金を科した。

 

公平交易法に定める「取引秩序に影響を及ぼすに足る」行為は以下のとおり:

 

違法行為

処分内容

条項

第25条

第42条

 

 

 

本法に別途規定がある場合を除き、事業者は、その他取引秩序に影響を及ぼし得る欺罔行為又は明らかに公正さを失する行為をしてはならない。

  1. 期限までにその行為を停止・改善すること、又は必要な訂正措置を講ずるよう命じることができると共に、新台湾ドル5万元以上2500万元以下の罰金に処することができる。
  2. 期限までにその行為が停止・改善されず、又は必要な訂正措置が講じられなかった場合、その行為が停止・改善され、又は必要な訂正措置が講じられるまで引き続き、期限までにその行為を停止・改善すること又は必要な措置講ずるよう命じることができるともに、回数に応じて新台湾ドル10万元以上5千万元以下の罰金に処することができる。

 

本件は、登録商標第01829100号「iMAT及び図」の商標権者が、他の同業者が当該登録商標の中の文字「iMAT」をインターネット上におけるキーワード広告のキーワードとして使用し、それにより「ペンスタンド;ペン立て;ペンホルダー;スタンプパッド;デスクマット;ライティングマット;下敷き;カッティングマット...」を指定商品とする当該商標の権益を害していることを発見したという経緯がある。

 

登録商標の内容:

登録/査定番号:01829100

商標種類:商標

商標名称: iMAT及び図

出願番号:105045202

正登録/査定番号01829100

出願日: 2016/08/03

権利存続期間: 2017/03/16~2027/03/15

商標権者: 盈昕有限公司

国籍:中華民国

図形英文: iMAT

商標区分: 016

商標/役務名称:ペンスタンド; ペン立て; ペンホルダー; メモ用紙ボックス; カッター; バインダー; 卓上ドキュメントファイル; 卓上カレンダースタンド; 文具ボックス; 卓上ファイルボックス; ファイルホルダー(文具); 名札ホルダー用クリップ; スタンプパッド; ペーパーカッター; デスクマット; ライティングマット; クリアファイル;ドキュメントボックス; 下敷き;カッティングマット。

 

商標権者は、「iMAT」というキーワードを検索エンジンに入力した際、検索結果に商標権者のブランド「iMAT」と被処分者のブランド「晨陽MORN SUN」が並んで表示され、クリックすると被処分者の運営するウェブサイトにリンクされることにより、消費者が商標権者の製品の出所を混同しやすくなり、商標権者の会社の利益が大幅に減少することを発見した。

 

その後、商標権者は公平会に通報し、公平会の調査の結果、被処分者の行為が、商標権者と被処分者は同一の事業者である、同じシリーズの製品を出している、または双方が一定の協力関係にあるという消費者の誤認を招きやすくし、これが規定に違反していると判断され、罰金処分が下された。本件では商標権者が積極的に行動し、他人の不当な行為による商標の出所の混同誤認を効果的に防止し、不公正な競争を阻止することができた。

 

他人の商標を広告のキーワードとして使用することは禁止されているほか、以下の2つの違反がよくあるので、注意されたい。

 

他人の事業名称を使用する行為

他人の営業上の表徴を使用する行為

 

一、他人の事業名称を使用する行為

 

事例の概要(公處字第112069号)

 

元儀科技有限公司

統一編號:56809223,登記機関:経済部中辦公室,登記状況:設立許可済み,住所:新竹縣新竹市鹿場里2鄰成功一街83號二樓,種類:会社,設立許可日:2017年8月2日, 許可変更日:2023年3月14日

 

 

  1.  通報者は、顧客のフィードバックにより、Googleで「元益科技」を検索したところ、「プロフェッショナル元益科技、ドイツから輸入-弘軒科技」、「元益科技-サーマルカメラ 弘軒科技、ドイツInfraTec赤外線サーマルカメラ代理店......」等、被処分者の広告が8件表示され、これらをクリックすると、被処分者のウェブサイトにリンクされることを知らされた。顧客は、制裁対象者のウェブサイトにリンクされていたため、広告の出所について混乱し、通報者が被処分者と合併したのではないかと尋ねた。
  2.  通報者は、被処分者に問い合わせたが、「関連の状況については分からない」と回答されただけで、キーワード広告も削除されなかったため、公平会に通報した。
  3.  公平会は調査により、被処分者は通報者の事業名称を使用し、両者が同一の出所または関連企業であるという誤認を招き、他事業者の経済的利益を侵害し、これは他人の努力の成果を搾取する明白な不公正行為に該当し、市場取引秩序に影響を与えていると判断し、このような行為は公平交易法第25条の規定に違反しているため、同法第42条の前段規定に基づき、被処分者に新台湾ドル10万元の罰金を科した。

 

二、他人の営業上の表徴を使用する行為

 

事例の概要(公處字第112055号)

 

水魔素股份有限公司

統一編號(会社登記番号):43863842,登記機関:台北市政府,登記状況:設立許可済み,住所: 台北市大同區民權西路104號12樓之1,設立許可日:2016年5月31日, 許可変更日:2022年12月8日

 

登録商標の内容:

 

登録/査定番号:01842929

商標種類:商標

商標名称: 水魔素及び図

出願番号: 105055652

正登録/査定番号01842929

出願日: 2016/09/19

権利存続期間: 2017/06/01~2027/05/31

商標権者: 水魔素有限公司

国籍:中華民国

図形中文: 水魔素

商標区分: 003

商標/役務名称:非人体用洗浄剤;洗浄剤;食器用洗剤;家庭用あか除去剤;浴室トイレ用洗剤;冷水洗濯洗剤;浴室用洗剤;食品用洗剤;キッチン用洗剤;洗濯洗剤;ベビーケア用洗浄剤;動物用化粧品;ペット用シャンプー;動物用身づくろい用剤;ペット用入浴剤;ペット用消臭剤。

 

  1.  被処分者は、通報者の営業上の表徴である「水魔素」を、Googleの「キーワード挿入機能」を備えた広告においてキーワードとして使用していたため、消費者がGoogleで「水魔素」を検索すると、被処分者の広告内容である「【汪咪博士】((Dr.Wa-Mi)解決水魔素口腔ケアリキッド」や「水魔素口臭問題-犬猫の専門家-汪咪博士(Dr.Wa-Mi)」といった広告内容が表示され、これをクリックすると被処分者の「汪咪博士」のウェブサイトにリンクされるようになっていた。
  2.  この状況が、被処分者と通報者の間に提携関係または一定の関連性があると他人の誤認を招き、消費者が被処分者のウェブサイトを閲覧する機会および取引する機会を増加させ、競合同業者である通報者が取引相手と接触する機会を減少させることになった。
  3.  「水魔素」が通報者の事業名称だけでなく、ブランド名としても使用され、2017年6月1日に商標登録されており、通報者がペットの口臭などの体臭問題を解決するペット用品の販売を行っており、被処分者が通報者の営業上の表徴を使用することにより、両者の出所が同一である、または両者間に一定の関係があるという誤認を招き、これは自身の商品またはサービスを推進することにより他人の努力の成果を搾取する明白な不公正行為であると公平会は判断し、このような行為は公平交易法第25条の規定に違反しているため、同法第42条の前段規定に基づき、被処分者に新台湾ドル10万元の罰金を科した。

 

以上の事例から、商標権者が商標権益を保護するためには、商標法に基づき訴訟を提起するという方法だけでなく、公平会に通報することにより不公正な同業者間の競争を効果的に阻止するという方法もあることが分かります。

また、法に抵触することを回避するため、企業がキーワード広告を設定する際には非常に慎重である必要があり、他人の商標、事業名称または営業上の表徴を広告のキーワードとして使用しないよう注意が必要であることも指摘されています。

 

参考:公平交易委員会、経済部智慧財産局、経済部商業司

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