著作権法における「複製」とは、著作物を再製して著作内容を再現することであり、恒常的な再製も一時的な再製も複製になります。
コンピューターの電源が入っている時にRAM(ランダム・アクセス・メモリー)に蓄積されたデータはコンピューターの電源が切れることにより消失します。これは一時的な再製であり、一時的な再製は複製の範囲に属するため、著作権法により保護されます。この点(電子データ上の複製も複製の形式に含まれること)については、2003年7月9日の著作権法改正時に明文化されました。
一時的な再製が著作権法により保護されるのであれば、日常生活で広く行われているパソコンやビデオ・ディスク・プレーヤーを使用して動画を見る、音楽を聴く、コンテンツを伝送する、といった行為は他人の著作権を侵害することにはならないのでしょうか?このような疑問に対応するため著作権法には、インターネットでの合法的中継的転送または著作物の合法的使用で、技術操作の過程に必要な暫定的、付属的である複製物は複製権の範囲に属さないと明記されています。つまり、このような状況から生じた一時的な複製は、著作権法に反して複製権を侵害することにはなりません。したがって、一般的なパソコンやデジタル・ディスク・プレーヤー等の機器を使用する行為は一時的な複製を伴いますが、違法にはなりません(著作権法第3条第5項、第22条)。
日常生活における次のような「一時的複製」行為は違法にも権利侵害にもなりません。
(1)購入した光ディスクをパソコンやビデオ・ディスク・プレーヤーで再生して映像、画像、文章、音楽を鑑賞する。
(2)インターネット上で映像、画像、文章、音楽を閲覧する。
(3)ワードやエクセルのようなパソコン購入時に既に搭載されていたコンピュータープログラムを使用する。
(4)インターネット・サービス・プロバイダーを通じてインターネット上でコンテンツを伝送する。
(5)学校や企業がプロキシサーバーを使用してインターインターネット利用者が閲覧できるようにコンテンツをプロキシサーバーに保存する。
(6)コンピュータープログラムを修正する。