テレビCMなどで流れるドラッグストア「マツモトキヨシ」の音を商標と認めなかった特許庁の審決を巡り、マツモトキヨシホールディングス(千葉)が同庁に取り消しを求めた訴訟があり、知財高裁は8月30日、請求を認める判決を言い渡した。同庁は商標法で登録が制限される「他人の氏名」に当たるとしていたが、大鷹一郎裁判長は「一般的に『マツモトキヨシ』と聞いて連想するのは、氏名ではなく店名だ」と指摘した。
同社側は1987年にドラッグストアの展開を始めて以降、カタカナや英語のロゴマークなどを商標出願して認められてきた。2015年に新設された「音の商標」の登録も試みたが、同庁は「松本清」「松本潔」など全国の「マツモト・キヨシさん」の人格権の保護などを理由として認めず、同社側が昨年10月に提訴した。
同庁の判断に対し、判決は「商標法の規定は、商標の発音と一致する人の利益を常に優先したものではない」と指摘。その上で、店舗数やCMの放映実績などを踏まえ、「マツモトキヨシ」の音を聞いた際の一般的な受け止めを考慮すべきだとした。特許庁は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントしている。
出典:
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210901-OYT1T50159/