ウェブサイト上の広告を非表示にする、いわゆる「アドブロック」と呼ばれるツールについて、「ウェブサイトの権利者の著作権を侵害するものではない」という判決がドイツのハンブルク地方裁判所により下されました。
ウェブ広告はウェブサイトの運営者にとって収益をもたらすといった側面を持っている一方、一部の過剰な広告や目障りな広告がユーザーの可読性を損ねているという問題もあります。こういった問題に直面したユーザーは、広告を非表示にするアドブロックツールを使用することがあります。
2019年から、ドイツの出版社であるAxel Springerは「アドブロックツールがウェブサイトのコードを変更し、法的に保護されたコンテンツに直接アクセスすることを可能にする」として、アドブロックツール「Adblock Plus」を開発したドイツのソフトウェア開発企業・Eyeo GmbHを相手取った訴訟を起こしていました。Axel SpringerはAdblock Plusの仕組みをメモリ内のコードを変更するPlayStation Portable用チートツールに例え、「勝手なコードの書き換えは著作権違反である」と主張していました。
これに対し、Eyeo GmbHは「コードの書き換えは行っていない」と反論。「Adblock Plusは特定のコードを読み込まないだけ」といった旨の主張を展開し、「ばかげている」と相手方の申し立てを却下する姿勢を見せていました。
2022年1月18日、ハンブルク地方裁判所はこの訴訟に関し、「著作権法で定義されているコンピュータプログラムの無許可の複製または再加工の痕跡が見られない」とする判決を下しました。
Eyeo GmbHは「この判決が無料で安全なインターネットの勝利を意味することを嬉しく思っています。ユーザーの生活をより良く変えるアプリケーションの開発継続に必要な法的確実性が多くの企業に与えられました」と、判決を喜ぶ声明を発表しています。
なお、Axel Springerは以前にも「Adblock Plusが競争法に違反している」として訴訟を起こしていましたが、ドイツ最高裁判所により「違法ではない」という判決が下されています。Axel Springerは、今回の訴訟についても上訴する構えを見せています。
出典:
https://gigazine.net/news/20220119-adblocking-copyright-infringement-lawsuit/