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特許庁の脱炭素に関する技術区分に基づく統計調査によると、2010―21年に複数国で出願された日本国籍による二次電池の発明件数が2万6071件で世界首位だったことが明らかになった。日本が二次電池の高度な技術を蓄積していることが示された格好だ。脱炭素化に向けて二次電池の普及は欠かせない。日本の競争力向上が期待される。
特許庁はグリーン・トランスフォーメーション(GX)に関する技術動向を俯瞰するために作成した技術区分表を活用し、統計調査の中間結果を近く公表する。10―21年に複数の国・地域に出願された「国際展開発明件数」を、出願人の国籍ごとにまとめた。5月に最終報告をまとめる予定。
日本国籍の発明件数は太陽光発電、二次電池、燃料電池、建築物の省エネルギー化などでいずれも首位だった。このうち二次電池に関する出願は日本国籍が2万6071件、欧州籍が1万893件、米国籍が1万809件で、日本が欧米を大きく引き離している。
燃料電池の発明件数も日本国籍が欧州籍と比べて約1・5倍の6761件でトップだった。特許庁は自動車の脱炭素化に向けて、メーカーによる研究開発が活発化している成果とみている。
今回の統計調査ではエネルギー供給や省エネルギー、電池などほぼすべての項目で、日本と欧州、米国が10―21年の国際展開発明件数の上位3位までを独占した。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、競争力の高い技術を持つことが浮き彫りになった。
一方、19年のみの国際展開発明件数では、中国国籍の出願が太陽熱利用やバイオマス、熱エネルギー貯蔵などの項目で上位3位までに入ってきている。環境負荷を低減する技術開発で中国が躍進する可能性がある。