中国企業が、白老町の「白老牛」商標マークに酷似した図形商標を同国の行政機関に登録申請した問題で、町の異議申し立てが棄却されたことが26日の町議会全員協議会で報告された。町は白老牛の販路拡大に支障が出かねないとして昨年、申請を認めないよう中国側に申し立てたものの、認められなかった。商標登録の無効を訴える審判請求に関しても「勝算が見込めない」として断念した。
町によると、商標登録を申請したのは中国広東省中山市にあり、プリンター機器などを扱う中山市飛湊電子科学技術有限公司。「白老牛」の名称入り図形3種の商標について、特許権を管理する行政機関・中国国家知識産権局へ2019年6月に申請した。図形は、白老牛の生産者らでつくる白老牛銘柄推進協議会が活用する商標マークの図柄に酷似している。
町は同年12月、町内事業者の情報で中国企業による出願申請を把握。承認されれば、「中国への和牛輸出が解禁となった際、白老牛としての輸出や販路拡大に支障が生じかねない」と懸念し、昨年2月に当局へ異議を申し立てた。
しかし、当局は今年2月、異議申し立てを棄却し、中国企業の商標登録を承認。町は対抗措置として登録の無効を訴える「無効審判請求」を提起できるものの、中国国内での白老牛の流通実績や白老町の認知度など、決定を覆すための証拠がそろえられないとして断念した。
町は今後、白老牛ブランドの低下など不利益を被らないよう国や道に対し、中国で商標登録した企業の動きなどの監視を依頼するという。町議会全員協議会で竹田敏雄副町長は「異議が認められなかったことは非常に残念」と述べた。
日本国内での白老牛の商標登録に関しては現在、牛肉商品に貼付するシールの図柄のみ。町は、白老牛ブランドを保護するために「農協やホクレン、白老牛銘柄推進協議会など関係機関との協議を続けたい」としている。また、同協議会の岩崎考真会長は棄却を受けて「今後どうしていくべきか、協議会で議論していきたい」と話した。
苫小牧民報