得恩堂は「Boy London」商標訴訟で逆転負け!地名入り商標は登録できるか?
 

スペシャルコラム

Home > スペシャルコラム

得恩堂は「Boy London」商標訴訟で逆転負け!地名入り商標は登録できるか?

台湾の最高行政法院(最高行政裁判所)は、ロンドンは世界的に名高い大都市であり、「Boy London」の商標は商品・役務の品質、特性または産地を消費者に誤認させる恐れがあり、登録できない旨の判決を下した。出願人は商標のネーミングやロゴをデザインする際、問題を回避するため、地名を含む文字または図形の使用を控えることが好ましい。

得恩堂は「Boy London」商標訴訟で逆転負け!地名入り商標は登録できるか?

 

【事件の内容】

 

台湾の有名なメガネチェーン店である得恩堂眼鏡(GRACE OPTICAL、以下、「得恩堂」)は、2018年に「Boy London」の商標について「光学レンズ、コンタクトレンズ、眼鏡用枠、サングラス等」を指定商品として智慧財産局(台湾特許庁)へ登録出願したが、「Boy London」は公衆に商標の特性、品質または産地を誤認させる恐れがあるとして、拒絶査定となった。得恩堂はその決定を不服として智慧財産法院(知的財産裁判所)へ行政訴訟を提起した。智慧財産法院は、「Boy London」は原材料または産地がイギリス・ロンドンであることを直接かつ明確に表すものではないと判断し、得恩堂の勝訴となったが、智慧財産局がこの判決を不服として上訴した。そして、最高行政法院は、「Boy London」の商標は公衆に商品の生産地を誤認させる恐れがあると認定し、智慧財産法院の判決を破棄し、得恩堂の当該商標は登録を受けられないと結論付けた。

 

 

【分析】

 

最高行政法院の判断では、ロンドンは台湾において人々に広く知られる都市名であり、「London」という単語はロンドンという都市の関連性を強く示すものである。「Boy London」商標については、消費者は「London」の部分に関心を払いやすく、「Boy」は特殊な意味を持たない一般名詞であるため、注意を向けられないことが多い。「Boy London」商標は、その指定商品・役務について、ロンドンまたはロンドンに関連するものであるという錯覚を消費者に与え、客観的に見て、公衆に係争商標の指定商品・役務の品質、特性または産地を誤認させる恐れがある。つまり、商標に地名が含まれると、それは商品の産地についての説明、または消費者に商品の出所・産地を誤認させる恐れがある。よって、出願人は商標のネーミングやロゴをデザインする際、問題を回避するため、地名を含む文字または図形の使用を控えることが好ましい。