スペシャルコラム
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中国は2022年2月5日、意匠の国際登録に関するハーグ協定への加入書を寄託し、その加入は2022年5月5日に発効した。台湾は同協定の加盟国ではないが、中国本土と地政学的、産業的に密接な協力関係にあるため、ハーグ協定を理解することは重要である。そこで、ハーグ協定の制度について、以下に簡単な紹介を行う。
意匠の国際登録制度であるハーグ制度とは、意匠登録の国際出願方法の一つで、出願人は意匠について国際出願を一度行えば、指定した締約国すべてにおいて出願したことになる制度である。
ハーグ協定は、1925年にオランダ第三の都市ハーグで締結され、その後、何度も改正が行われ、現在は《1960年ハーグアクト》と《1999年のジュネーブアクト》が使用されており、1960年と1999年のアクトはそれぞれ独立している。
出願人が国際登録出願を行った意匠は、同じ国際登録日に指定締約国で出願した場合と同一の法的効果を受けることができるが、指定できるのは同じアクトに加入している締約国に限られる。例えば、出願人が《1999年ジュネーブアクト》に加入している締約国に属する場合、この出願人は意匠の国際登録出願を行う際、《1999年ジュネーブアクト》に加入している締約国のみを指定することができる。
また、加盟国の国内法で審査機関が定められている場合、当該審査機関は規定に従って審査を行うことができ、国際登録出願された意匠が指定された加盟国において保護を付与されるか否かは、最終的に当該加盟国により決定される。
台湾の出願人は、PCTやEPCのシステムの運用には比較的慣れているが、意匠登録に関するハーグ協定には馴染みのない人も多い。今後意匠登録出願を計画する際、少数の国にしか出願しない場合は、ハーグ制度を利用しても費用が軽減されるとは限らないため、利用しないという選択肢も考えられる。
しかし、多数の国や地域で意匠出願登録を行う場合、出願前に当該国の意匠制度(例えば、部分意匠、組物意匠などの規定)を十分に理解し、規定に合わないために多くの分割出願や補正が必要になり追加費用が発生するような事態を回避することが推奨される。