専利における「一体」の権利解釈
Scroll to see more.
 

スペシャルコラム

Home > スペシャルコラム

専利における「一体」の権利解釈

専利における「一体」の権利解釈
判決番号:111年(2022年))度民専上字第35号
係争実用新案:保護カバー付き車載携帯電話ホルダー
争点:一体の解釈は相互に接続する構造を持つ2つの固体を含むか?
上訴人の主張:「一体」の解釈は「両者間に接続構造を持つ2つの完全な単独個体」を含む。
裁判所の見解:
一、判決番号: 111年(2022年))度民専上字第35号
 
二、係争実用新案:保護カバー付き車載携帯電話ホルダー
 
三、争点:一体の解釈は相互に接続する構造を持つ2つの固体を含むか?
 
四、上訴人の主張:「一体」の解釈は「両者間に接続構造を持つ2つの完全な単独個体」を含む。
 
五、裁判所の見解: 
 
係争実用新案では「一体」という用語が明確に定義されていないが、同実用新案の図6及び図7から、保護カバー(2)は上方から下方まで延伸する単独固体であり、当該保護カバーは2つ以上の単独個体から構成されたものではないことが分かる。また、被上訴人が提出した台湾教育部国語辞典の定義によれば、「一体」とは「1つの完全な個体」であり、「個体」とは「単独の人、生物又はその他の実体」と解釈される。したがって、係争実用新案請求項1の「一体」という用語は、内部証拠(係争実用新案の明細書、図6及び図7)、外部証拠(教育部国語辞典)のいずれから見ても、「1つの完全な個別の単独個体」と解釈すべきであるため、同請求項の「上方から下方に延伸する一体物」という語句は、「上方から下方に延伸して形成される1つの完全な単独個体」と解釈すべきである。
 
結論:
 
本事例から、専利(特許・実用新案)の範囲を解釈する際、「一体」という言葉の定義解釈は、1つの完全な単独個体という制約条件として扱われる(均等論には解釈の余地があるかもしれない)。しかし、進歩性を論じる場合、「一体」は、簡単に変更でき、予期せぬ効果を生まないため、進歩性を有しないと判断されることがよくある。最高行政法院111年(2022年)度上字第872号の行政判決には、「差異特徴1について、両者の相違点は、証拠2は取付筒とカバーが一体になった単一構造であり、係争実用新案請求項1の単一構造は、2つに分解でき、挿入して組み付ける必要がある構造であるという点だけであり、当該技術分野における通常の知識を有する者が容易に変更することができ、予期せぬ効果を生まない。」とある。したがって、この両判決から出願の参考になるのは、一体型の物体の効果が当業者にとって予期せぬ効果を生まない場合、独立請求項には入れないほうがよいという点である。
Privacy Statement
Our company is deeply committed to protecting the privacy and personal information of our users. In accordance with our website's privacy policy, we promise to safeguard user personal information from infringement. If you have any questions regarding our privacy policy, please feel free to contact us via email or phone. We are more than happy to assist you.