判例紹介-会員サービス規約は特許の先行技術になり得るか?
 

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判例紹介-会員サービス規約は特許の先行技術になり得るか?

判例紹介-会員サービス規約は特許の先行技術になり得るか?

出願された特許が登録を認められるか否かは、当該特許の範囲と先行技術を比較し、新規性および進歩性の有無により判断されるが、出願人は先行技術の定義を誤解することがある。例えば、自分が公開した技術内容は先行技術に該当しないと考えたり、市場に同様の製品が存在しないということは先行技術が存在しないということだと考えたりすることがあるが、そのような誤解は特許を取得するタイミングや戦略に影響を与える。ここでは、一般的な先行技術文献の説明だけでなく、台湾の智慧財産法院(知的財産裁判所)の判決で採用された珍しい先行技術文献についても紹介する。

  • 専利法で定義される先行技術:

特許登録の判断に際し、専利法(特許法)第22条第2項における先行技術とは、出願前に公衆が知り得る(available to the public)全ての情報を指し、世界のいかなる場所、いかなる言語、または文書、インターネット、口頭、展示等のいかなる形式にも限定されない。また、この「公衆が知り得る」とは、公衆が当該先行技術に接触して当該技術の実質的な内容を知る可能性がある状態を指し、「当該技術の実質的な内容を知る」とは、当該先行技術が、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が特許出願に係る発明を製造し、使用することができる程度に開示されていたことを意味する。

  • 審査でよく見られる先行技術文献:

一般的に審査官が最もよく引用する文献は、主に特許文献であり、次に学術文献である。その理由は、これらの文献は通常公開時期をめぐる異議が生じないからである。特許文献や学術文献において関連する技術的特徴が開示されていない場合、審査官はインターネットで情報検索を行うことがあるが、この場合、資料の公開日やウェブページ上で実際に公開された日付が明示されているかを確認することが重要である。ウェブページ上に公開日が表示されていない場合、外部リソースであるWayback Machine(ウェイバックマシン、 https://web.archive.org)で確認することができ、現在Wayback Machineの公開日情報は智慧財産局(台湾特許庁)や法院(裁判所)でも認められている。ただし、Wayback Machineはウェブページに掲載されている全ての情報を完全に記録しているわけではなく、ウェブサイトが実際に公開されていても、それがWayback Machineに記録されていない場合もある。したがって、審査官は実務上、公開日の確認に時間がかからず、開示された技術内容が完全な特許文献や学術文献を優先的に引用する。

  • 判例紹介111年(2022年)度行専訴字第16号

本件の主な証拠は某ウェブサイトの会員サービス規約である。

法院(裁判所)の判断:証拠1は「Wayback Machine」で取得されたウェブサイト「17Life」の「17Lifeウェブサイト会員サービス規約」のページである。当該ページは2017年10月21日に保存されたものであり、これは係争特許の出願前に公衆が知り得た情報であり、特許出願前という先行技術の形式要件を満たしている。

原告は、証拠1は、ウェブサイトの利用により生じる事業者と消費者の私法上の権利義務関係を規律する法律文書であり、当該ウェブサイトが実際にどのような技術手段で運営されているかについての情報は開示されていないため、証拠1が先行技術の実質的な要件を満たすとは認められないなどと主張している。しかし、前述したように、先行技術は、当該情報の掲載媒体や存在形式は限定されておらず、「会員サービス規約」の形式で存在し、法的文書の性質を兼ね備えていた場合でも、係争特許の先行技術になり得ないわけではない。また、証拠1の会員サービス規約を見ると、例えば、「2.登録義務」、「4.会員アカウント、パスワード及びセキュリティ」といった内容は、インターネット上の人間による取引活動やビジネス手法をシステム化したものであり、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、これを読んで理解し、そのウェブサイトの会員サービスのプロセスや利用規約を係争特許の会員仮想アカウントに関する分野または技術に応用することは可能である。したがって、証拠1は先行技術としての実質的要件を備えており、係争特許出願前の先行技術として適格であるから、原告の主張は認められない。

  • 結論

確かに会員サービス規約の内容は、技術的な記述が少なく、先行技術を検索する者からは見過ごされやすいため、一般的な引用文献のタイプではない。しかし、本判決は、特許の先行技術文献はどのような形式の文書にも限定されず、出願日(優先日)前に公開された情報であることが確認されれば、引用文献として利用できることを明確に伝えている。

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