「一番賞」または「一番くじ」の起源は、2003年に株式会社BANDAI SPIRITS(以下、バンダイスピリッツ社)が発表したもので、バンダイスピリッツ社はこの抽選方式の元祖と言える。それでは、バンダイスピリッツ社は「一番賞」や「一番くじ」に関して商標権を持ち、他者がこれらの名称を商品やサービスに使用することを禁止できるのだろう?
「一番賞」は、日本発祥の「くじ引き販売方式」で、比較的低価格で高価値の賞品を抽選で得ることができる方法である。A賞からF賞までの賞品があり、必ず何かしらの賞品が当たるという特徴がある。特に日本の人気アニメやゲーム関連の商品が多く、希少価値が高いため、日本を訪れる観光客の間で非常に人気のあるアクティビティとなっている。
「一番賞」または「一番くじ」の起源は、2003年に株式会社BANDAI SPIRITS(以下、バンダイスピリッツ社)が発表したもので、バンダイスピリッツ社はこの抽選方式の元祖と言える。それでは、バンダイスピリッツ社は「一番賞」や「一番くじ」に関して商標権を持ち、他者がこれらの名称を商品やサービスに使用することを禁止できるのだろう?
バンダイスピリッツ社は、自社の権利を保護するために、はやくも2011年に台湾で「一番賞」および「一番くじ」文字を含む商標を商標登録出願した。結果として、次の通りである。
登録第01559180号商標「一番くじ\ICHIBAN KUJI\一番賞\(図形)」(第16、28、35、41類)
ディスクレーム:本件商標は「一番賞」文字についてディスクレームします。また、本件商標は「一番くじ」、「ICHIBAN KUJI」を「印字済みの紙くじ(玩具を除く)」について権利不要求を宣言します。
登録第01561930商標「一番くじ\ICHIBAN KUJI\(図形)」(第16、28、35、41類)
ディスクレーム:本件商標は「一番くじ」、「ICHIBAN KUJI」を「印字済みの紙くじ(玩具を除く)」について権利不要求を宣言します。
具体的には、バンダイスピリッツ社は「印字済みの紙くじ(玩具を除く)」に関して商標専用権を取得できなかったため、他者が「一番くじ」や「ICHIBAN KUJI」の文字を「印字済みの紙くじ(玩具を除く)」に使用することを禁止できない。しかし、それ以外の指定商品・役務である第16類、第28類、第35類、第41類に関しては商標権を取得できたため、これらの範囲内では他者の模倣や侵害に対して有効な措置を講じることができる。
バンダイスピリッツ社は、当初「一番くじ」の日本語文字および「ICHIBAN KUJI」の英語文字商標を出願したが、台湾の消費者が繁体字中国語に馴染みがあることを考慮し、3ヶ月以内に繁体字中国語商標「一番賞」も出願した。この戦略により、消費者が親しみのある文字を通じて商標の商品を迅速に理解できるようにし、商標権保護の強化を図った。ただし、「一番賞」という中国語商標は、その名自体が「最高の賞」を意味し、説明的な性質を持つため、識別力がないと見なされ、ディスクレームを要求された。
「一番○」や「○○賞」などの商標が全て登録されない?
やはり商標は全体的な文字、図形デザインの組み合わせが明らかに説明的であるかどうか、及び説明的文字を除いた商標全体として、消費者に商標として識別されるかどうかなどから、総合的に判断される。仮に商品または役務の品質、機能、成分などを説明する用語が、消費者に説明的な意味を伝えており、同業者の間でも当該用語を自身の商品または役務に使用する必要が場合、商標専用権を取得することはやはり難しい。そのため、商標登録出願に際しては、このような説明的な用語を避けるか、または他の文字やデザインと組み合わせて出願することが推奨される。