特許公開情報の判断に関する事例紹介
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特許公開情報の判断に関する事例紹介

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  • 判決番号:111年(2022年)度民専上字第18号
  • 争点:建設工程の写真は不特定多数に知られる公開情報になり得るか?
  • 主文:原判決を破棄する。被上訴人の第一審における訴え及び仮執行の申し立てを棄却する。
  • 上訴人主張:乙第38号証により、補正後の係争特許が新規性及び進歩性を有しないことを証明できる。(1)乙第38号証の建設工程の写真ファイルの作成日は「2017/5/15」、乙第38号証の視察日は106年(2017年)3月9日、乙第40号証の視察日は同年4月12日であり、いずれも係争特許の出願日(107年(2018年)7月20日)より早い時期であり、乙第38号証の写真は係争特許の出願日前に既に公開されていた情報となる。乙第38号証では、特許請求の範囲の各請求項における技術的特徴が明確に開示されており、乙第38号証とそれらの請求項の間に相違点があるとしても、その相違点は当該技術分野における通常の知識を有する者であれば容易になし得ることであるから、乙第38号証により係争特許が進歩性を有しないことを証明できる。
  • 被上訴人の主張:乙第38号証では、係争特許における補正後の請求項が新規性又は進歩性を有しないことを証明できない。乙第38号証は、乙第8、36、37号証及び乙第39~41号証までの証拠と関連性がなく、乙第8、36、37号証及び乙第39~41号証では、乙第38号証の正確な撮影場所又は公開時期を証明できず、あるいは港内艇用船渠の前述の建設工程の現場が不特定多数の人が自由に出入りできる場所であることを証明できず、上訴人は乙第38号証の公開時期を証明していない。したがって、乙第38号証は真実性及び証拠能力を有しておらず、乙第38号証では、係争特許が新規性又は進歩性を有しないことを証明できない。
  • 判決概要:乙第38号証の写真は「高雄港洲際貨櫃中心(コンテナセンター)第二期建設計画 海岸線・浚渫・港内艇用船渠の建設工程」を示しており、視察に参加した2機関は、請負、施工及び工事監督の機関とはいかなる関連性もなく、視察は申し込めば許可され、手配されるものであった。このことから、乙第38号証が示す工程の請負、施工及び工事監督の機関は、建設工程技術の機密保持を求める主観的・客観的意識を有していなかったと認められ、乙第38号証の関連工程の情報は、既に不特定多数の者が接触できる範囲にあったと認められるはずである。また、2回の視察日は乙第38号証の写真撮影日に近く、証人の楊氏は、乙第45、46号証の農業委員会(日本の農林水産省に相当)及び海軍左支部の視察に参加し、当時両機関の視察参加者が工事現場に訪れるための手配をしたと証言している。したがって、乙第4546号証及び証人の供述により、乙第38号証が確かに証拠能力を有することを証明でき、証人楊氏も、参加者は報告及び登録する必要はなかったと証言しているため、参加者は不特定多数であることを証明でき、さらに、関連施工技術の情報は係争特許の出願日前に公開され、不特定多数の人が知り得たものであることも証明できる。具体的には、工事の着工から竣工まで、異なる段階に異なる作業項目があり、視察は乙第38号証の写真の撮影日に近い時期に行われたことから、水面プラットフォーム吊り下げ装置(係争特許技術)の実施時期と重なることが分かる。視察参加機関である農業委員会水土保持局や海軍左営後勤支援指揮部の業務特性から見て、台湾港務公司高雄分公司が視察の申し込み者を制限することはなかったと思われるため、これは不特定多数という意味に合致する。

係争工程は、係争特許の補正後の請求項6における文言範囲及び補正後の請求項8~10の均等範囲に属さず、上訴人は、この点において係争特許を侵害していない。係争工程は、係争特許の補正後の請求項1~3及び補正後の請求項7の文言範囲に属するが、乙第38号証により、係争特許の補正後の請求項1~3及び補正後の請求項7は新規性及び進歩性を有しないことを証明できる。智慧財産案件審理法第16条第2項に基づき、被上訴人は、本件民事訴訟において、上訴人に対してこの点に関する権利を主張してはならない。(資料:111年(2022年)度民専上字第18号より抜粋)

  • 結論

ある技術が公開又は開示されていない場合、それを別の特許登録を拒絶するための先行技術とすることはできない。製品や技術によっては、工程のプロセスにおける特定の段階で出現し、工程が完了する時点では、技術的特徴が見えなかったり、内部構造に隠れていたりすることがある。

限られたエリアであっても、視察の参加者が特定の人に限定されず、不特定多数がその技術内容を理解する又は知ることができ、守秘義務も取り決められていない場合は、本件のように、当該技術が公開された情報と見なされ、先行技術として引用文献や証拠に用いられる可能性がある。

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