スペシャルコラム
Home > スペシャルコラム
智慧財産および商業法院 110 年度行商更(一)字第4号行政判決
智慧財産および商業法院 110 年度行商更(一)字第4号行政判決
[ダイジェスト]
1. 係争商標の指定役務「インターネットショッピング」と引用商標の指定商品を比較すると、前者は多様な商品を一括して取り扱う総合的小売役務であるのに対し、後者は商品の出所を示すものであり、両者は性質が異なるため、類似関係にはないものとする。
2. 係争商標の指定役務「電気用品の小売・卸売」の保護対象は、商標権者が提供する販売に関する一連のサービスであり、陳列販売する商品そのものではない。これと引用商標の指定商品を比較すると、商品の出所や品質といった性質が異なるため、類似関係にはないものとする。
|
一、争点:「インターネットショッピング」、「電気用品の小売・卸売」と「家電のホームオートメーション用機器」は類似関係を有するか?
二、判決番号:智慧財産および商業法院110年度行商更(一)字第4号行政判決
三、係争商標:登録第01881381 号
四、判例の概要:
1.原告の主張:
係争商標について使用指定されたのは「電気用品の小売・卸売」「インターネットショッピング」の役務であり、引用商標について使用指定されたのは第7類・第9類に属する商品である。引用商標の指定商品のほとんどが「電気用品」であり、係争商標の指定役務「電気用品の小売・卸売」の取扱商品と関連している。両者の指定商品・役務を比較すると、消費者のニーズや販売場所等の要素が同一であるため、類似すると考えられる。また、引用商標の指定商品は、よくみられる電気製品が対象となっており、係争商標の指定役務「インターネットショッピング」が提供される目的とは関連する点が多く、消費者がインターネットショッピングを利用する際に、引用商標の指定商品に接する可能性があるため、両者の指定商品・役務が類似すると認定されるべきである。
2.被告の主張:
(1)引用商標1の指定商品の性質は専門性の高い電気用品であり、専門業者が使用するものであって、一般な電化製品とは区別される。また引用商標1の指定商品の消費者は電気設備メーカーなどの業者であり、係争商標の指定役務「インターネットショッピング」や「電気用品の小売・卸売」と比較すると、両者の商品・役務は性質・機能がかなり異なる上に、サービスの提供者または商品の生産者においても差があるため、同一または類似のものではない。
(2)引用商標2の指定商品は第7類・第9類に属する商品であり、係争商標の指定役務「インターネットショッピング」や「電気用品の小売・卸売」は総合的商品の小売および電気用品の小売・卸売であるため、両者の商品・役務において性質・機能がかなり異なっており、同一または類似のものではない。
3.判決内容
(1)係争商標と引用商標の指定商品・役務は類似していない:
係争商標の指定役務であるインターネットショッピングまたは電気用品の小売・卸売は、特定の商品を一括して一つの場所で消費者に販売することであり、その商標を付する対象は商品販売時に提供される小売サービスである。これに対し、引用商標が使用指定されるのは商品であり、その商標は商品の出所を示すものなので、両者の商品・役務において性質・機能がかなり異なっており、サービスの提供者や商品の生産者、消費者のニーズ等の要素においても共通・関連する点はなく、一般社会通念および市場取引の状況に照らして考えると、両者は類似のものではない。
(2)原告の主張を採用できない理由:
①係爭商標の指定役務「電気用品の小売・卸売」について:
係争商標の指定役務「電気用品の小売・卸売」と引用商標の指定商品を比較すると、前者の保護対象は商標権者が提供する販売に関する一連の総合的なサービスであり、陳列販売する商品そのものではない。後者は、商品の出所と品質を示すものである。両者の商品・役務の性質はかなり異なっており、同一または類似のものと認め難い。
②係爭商標の指定役務「インターネットショッピング」について:
係争商標の指定役務「インターネットショッピング」と引用商標の指定商品を比較すると、前者は多様な商品を一括して取り扱う総合的小売サービスであり、後者は商品の出所を示すものであり、両者の性質は異なる。また、係争商標の指定役務「インターネットショッピング」は、取扱商品の範囲が広くて具体的ではなく、引用商標の指定商品とは出所が同一である可能性、または同一ではないが両者の出所が関連している可能性について、消費者は予想できないため、両者は類似関係にはないものとする。