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【判例紹介TW04】台湾智慧財産法院106(2017)年度行商訴字第2號行政判決
【判決】
係争商標(出願第102029780 號「IWATCH」)の出願において、第14類商品の使用指定については登録不可とし、第9類商品の使用指定については登録可とする。
【争点】
係争商標と拒絶査定の引用商標であり著名商標である「SWATCH」商標は公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるか、同「SWATCH」商標の識別性または信用を損なうおそれがあるか。
【判決の趣旨】
一、両商標は類似しているが、類似度は高くない。
引用商標の商標権者が出願時に提出した資料によると、引用商標は著名商標であることが認められる。両者の商標文字を比較すると、いずれもアルファベット一文字と英単語の「WATCH」の組み合わせという印象を消費者に与え、読み方は異なっても、英語読みをしない消費者にとっては区別し難く、両商標は類似しているといえるが、類似度は高くない。
二、係争商標の第14類商品への使用は商標法第30条第1項第11号前段の規定に反する。
係争商標と引用商標の使用に指定される第14類商品は、いずれも時計類もしくは宝飾品または時計と組み合わせられるアクセサリーであり、類似であると認められるので、係争商標は商標法第30条第1項第11号前段の規定に反している。
三、係争商標の第9類商品への使用は商標法第30条第1項第11号後段の規定に反しない。
(一)引用商標である「SWATCH」商標は第9類に属するコンピューターやディスクドライブ等の商品には使用されていない。 一方、係争商標の出願人は1998年から普通名詞の前にアルファベットの「I」を付けたシリーズの商標を第9類の指定商品に使用し、台湾の関連する消費者には既に知られており、原告が引用商標に便乗する意図はないことが十分に見て取れる。従って、第9類のコンピューターやディスクドライブ等の指定商品に使用される係争商標は、関連する消費者にとってその商品の出所を連想しやすく、引用商標の出所とは明らかに区別することができる。
(二)著名商標の識別性が損なわれるのは主に、第三者の商標と著名商標が同一であるまたは非常に類似している場合であり、第三者の商標が市場区分を有する指定商品・役務に使用されても、消費者がその商標の出所を著名商標の商品・役務の出所と同一であるまたは関連していると誤認することはないが、当該商標が著名商標の商標権者の単一の出所から来ているという公衆の印象を薄める可能性があるときには、著名商標の識別性が損なわれるおそれがあると判断される。このような判断の際に求められる商標類似度は、混同誤認のおそれについての判断の際に求められる商標類似度よりも高く、両商標が非常に類似していることが前提となる。係争商標と引用商標の類似度は高くなく、係争商標が第9類の指定商品について登録されても、引用商標の識別性が損なわれるおそれはない。また、係争商標は第9類のコンピューターやディスクドライブ等の指定商品へ使用されているが、当該商品がマイナス評価の印象をもたらしているわけではないので、係争商標が第9類の指定商品について登録されても、現行の商標法第30条第1項第11号後段に定められた登録不可の状況には該当しない。
【出所:司法院法學資料檢索系統】