台湾特許・実用新案出願における グレースピリオドの規制緩和 (2016年12月30日、第三読会を通過)
 

スペシャルコラム

Home > スペシャルコラム

台湾特許・実用新案出願における グレースピリオドの規制緩和 (2016年12月30日、第三読会を通過)

台湾特許・実用新案出願における グレースピリオドの規制緩和 (2016年12月30日、第三読会を通過)

 

 台湾では、企業および学術機関が特許・実用新案登録出願を行う前に、商業活動や学術活動のために様々な態様で発明・考案をすでに公開している場合でも、特許権・実用新案権による保護を受ける可能性は保障され、十分な出願準備期間も確保されている。

 

一、改正の要点:

 1.    グレースピリオド(新規性喪失の例外適用期間)が6か月から12か月に延長

 2.    技術内容の公開事由の制限なし*

 3.    出願時に公開事由を記載する必要なし

 

二、新旧条文比較表

 

条文内容

改正専利(特許)法

第22条

(第1項、第2項は変更なし)

出願人の本意により、又は本意に反して発明・考案が公開された事実が生じた日から12ヶ月以内に出願した場合は、当該事実が第1項各号又は前項に言う特許を受けることができない事由に該当しない

ただし、出願により台湾国内外において法に基づき公報上で発明・考案が公開された場合は出願人の本意によるものとし、前項の規定は適用されない。

旧専利(特許)法

第22条

(第1項、第2項は変更なし)

出願人が次のいずれかの事情により、かつその事実が生じた日から6ヶ月以内に特許出願をした場合は、当該事実が第1項各号又は前項に言う特許を受けることができない事情に該当しない:

1.実験により公開されたもの。

2.刊行物に発表されたため。

3.政府が主催する展覧会又は政府の認可を受けた展覧会で展示されたため。

4.その意図に反して漏洩したもの。

出願人が前項第1号から第3号の事由を主張する場合、出願時にその事実及びその事実が生じた年月日を明記し、並びに特許主務官庁が指定した期間内に証明書類を提出しなければならない。

 

三、当所のコメント

    台湾立法院(国会)では、米国特許法第102条(b)項、日本特許法第30条、韓国特許法第30条などの規定を参考にし、グレースピリオドを現行の6ヶ月から12ヶ月に延長し、公開事由の制限を緩和し、現行の各号規定を削除し、出願人よる公開態様の制限をなくすことにより、技術情報の公開と流通を促すための改正が行われました。

    今回の改正により、出願人の不注意で出願時にグレースピリオドを主張しそびれるという事態が回避できるようになり、猶予期間が12か月に延長されました。ただし、グレースピリオドが適用されない例外事由として「出願により台湾国内外において法に基づき公報上で発明・考案が公開された場合、出願人の本意によるものとする」という文言がある点には注意が必要です。