ゆるキャラ無断で使用…悩む自治体「数多すぎる」
2022-07-07
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ゆるキャラ無断で使用…悩む自治体「数多すぎる」

2022-07-07
 
 
自治体の「ゆるキャラ」が、無断使用されるトラブルが各地で起きている。多くの自治体は「PRになる」と申請があれば広く使用を認めているが、無断で使われた上、イメージダウンにつながるケースも。実態を把握しきれていない自治体もあり、対応に頭を悩ませている。
 
 
 
 
風俗店案内所に酷似イラスト
 
 
 
「すだちくん」そっくりのイラストが使われていた無料案内所の看板(1月、徳島市で)
 徳島市の繁華街で今年1月、徳島県のキャラクター「すだちくん」に酷似したイラストが風俗店の無料案内所に使われているのを県職員が確認した。緑色の顔が白色になっている以外はほぼ同じデザインだった。
 
 
 すだちくんは県特産の「スダチ」をモチーフに1993年に誕生。県に著作権があり、商標登録もしているが、翌94年に定めた「使用取扱要綱」に基づき、個人や事業者から申請があれば、審査の上で使用を認めている。2013年以降は営利目的も無料とし、特産品や小学校の教材などに使われ、17~21年度に使用を承認したのは、県外を含め862件に上るという。
 
 
 しかし、無料案内所の看板は、県に使用の承認を求める申請は出ていなかった。要綱には「公序良俗に反する場合」は承認しないとの規定があり、担当部署で対応を検討。規定に該当するとして、5月に業者に使用をやめるよう要請すると、まもなく撤去された。
 
 県担当者は「県としてはできるだけ多くの人に親しんでもらいたいという考えで、ほとんどが常識の範囲で使用してくれている。今回のような使われ方は想定外だった」と漏らす。
 
 ゆるキャラの目的は、地域のPRだ。そのため、徳島県と同様、多くの自治体は申請があれば広く使用を認めているが、無断使用のトラブルが相次いでいる。
 
 
 08年に誕生した奈良県の「せんとくん」。県は当初、営利目的の使用は有料としてきたが、18年に無料に変更した。しかし、その独特の 風貌ふうぼう からネット上で人気が高く、SNSなどで画像の無断使用が後を絶たない。担当者は「常にネットを監視するのは難しい」と語る。
 
 
 14年のゆるキャラグランプリで優勝し、21年にアニメ化もされた群馬県の「ぐんまちゃん」も無断使用とみられるイラストを用いたTシャツやバッグなどがネット通販サイトで出回っている。出品者の多くは中国の業者で、読売新聞がある中国の業者に問い合わせたところ、「わかりません」と答え、返信が途絶えた。
 
 
 県はぐんまちゃんを商標登録しているが、事業者に販売の差し止めを求めるのには1件につき最低10万円の弁護士費用がかかる。県は6月から出品サイトの運営者への通報を始めたが、「数が多すぎて、手が回らない」と漏らす。
 
 
 熊本県の「くまモン」も中国などアジアで人気が高く、無断使用は国際規模だ。県は18年、対策を広告会社に依頼。年数千万円の費用を投じ、これまで約300件について警告を出した。県くまモングループの担当者は「粘り強く対策していくしかない」と話した。
 
 
 
 
 
著作権や商標違反
 
 
 
 
 自治体の多くは、ゆるキャラの著作権を著作者から譲り受けている。イラストを無断使用すると著作権法違反にあたり、そのものでなくても、想起させる特徴があれば、著作権のうち「翻案権」や「複製権」の侵害にあたる可能性がある。
 
 
 同法とは別に、マークなどを保護する法律として商標法があり、多くのゆるキャラが商標登録されている。
 
 
 登録されれば、特許庁が定める「商標審査基準」を踏まえて裁判所が類似性を判断するため、著作権侵害を争うよりも、早く手続きが進むという。
 
 
 著作権に詳しい斎藤理央弁護士(東京弁護士会)は「キャラクターの取り扱いに慣れている民間企業に比べると、対応が十分ではない自治体もある。ゆるキャラはいわば県民にとっての財産。 毅然きぜん と対応していくべきだ」と指摘している。
 
 
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220707-OYO1T50041/
 
 
自治体の「ゆるキャラ」が、無断使用されるトラブルが各地で起きている。多くの自治体は「PRになる」と申請があれば広く使用を認めているが、無断で使われた上、イメージダウンにつながるケースも。実態を把握しきれていない自治体もあり、対応に頭を悩ませている。
 
 
 
風俗店案内所に酷似イラスト
 
 
 
「すだちくん」そっくりのイラストが使われていた無料案内所の看板(1月、徳島市で)
 徳島市の繁華街で今年1月、徳島県のキャラクター「すだちくん」に酷似したイラストが風俗店の無料案内所に使われているのを県職員が確認した。緑色の顔が白色になっている以外はほぼ同じデザインだった。
 
 
 すだちくんは県特産の「スダチ」をモチーフに1993年に誕生。県に著作権があり、商標登録もしているが、翌94年に定めた「使用取扱要綱」に基づき、個人や事業者から申請があれば、審査の上で使用を認めている。2013年以降は営利目的も無料とし、特産品や小学校の教材などに使われ、17~21年度に使用を承認したのは、県外を含め862件に上るという。
 
 
 しかし、無料案内所の看板は、県に使用の承認を求める申請は出ていなかった。要綱には「公序良俗に反する場合」は承認しないとの規定があり、担当部署で対応を検討。規定に該当するとして、5月に業者に使用をやめるよう要請すると、まもなく撤去された。
 
 県担当者は「県としてはできるだけ多くの人に親しんでもらいたいという考えで、ほとんどが常識の範囲で使用してくれている。今回のような使われ方は想定外だった」と漏らす。
 
 ゆるキャラの目的は、地域のPRだ。そのため、徳島県と同様、多くの自治体は申請があれば広く使用を認めているが、無断使用のトラブルが相次いでいる。
 
 
 08年に誕生した奈良県の「せんとくん」。県は当初、営利目的の使用は有料としてきたが、18年に無料に変更した。しかし、その独特の 風貌ふうぼう からネット上で人気が高く、SNSなどで画像の無断使用が後を絶たない。担当者は「常にネットを監視するのは難しい」と語る。
 
 
 14年のゆるキャラグランプリで優勝し、21年にアニメ化もされた群馬県の「ぐんまちゃん」も無断使用とみられるイラストを用いたTシャツやバッグなどがネット通販サイトで出回っている。出品者の多くは中国の業者で、読売新聞がある中国の業者に問い合わせたところ、「わかりません」と答え、返信が途絶えた。
 
 
 県はぐんまちゃんを商標登録しているが、事業者に販売の差し止めを求めるのには1件につき最低10万円の弁護士費用がかかる。県は6月から出品サイトの運営者への通報を始めたが、「数が多すぎて、手が回らない」と漏らす。
 
 
 熊本県の「くまモン」も中国などアジアで人気が高く、無断使用は国際規模だ。県は18年、対策を広告会社に依頼。年数千万円の費用を投じ、これまで約300件について警告を出した。県くまモングループの担当者は「粘り強く対策していくしかない」と話した。
 
 
 
 
著作権や商標違反
 
 
 
 自治体の多くは、ゆるキャラの著作権を著作者から譲り受けている。イラストを無断使用すると著作権法違反にあたり、そのものでなくても、想起させる特徴があれば、著作権のうち「翻案権」や「複製権」の侵害にあたる可能性がある。
 
 
 同法とは別に、マークなどを保護する法律として商標法があり、多くのゆるキャラが商標登録されている。
 
 
 登録されれば、特許庁が定める「商標審査基準」を踏まえて裁判所が類似性を判断するため、著作権侵害を争うよりも、早く手続きが進むという。
 
 
 著作権に詳しい斎藤理央弁護士(東京弁護士会)は「キャラクターの取り扱いに慣れている民間企業に比べると、対応が十分ではない自治体もある。ゆるキャラはいわば県民にとっての財産。 毅然きぜん と対応していくべきだ」と指摘している。
 
 
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220707-OYO1T50041/
 
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