人口10万人当たりの100歳以上の割合が全国で最も高い島根県。県内の自治体で近年、長寿の1、2位を維持する美郷町が、特許庁に「長寿県長寿町」の商標登録を申請し、2月に登録された。町は、全国有数の長寿の町として自然や町産品などをPRしながら、町民の健康寿命を延ばすためのスローガンとしても利用する。(佐藤祐理)
県高齢者福祉課が昨年発表したデータによると、島根は人口10万人当たりの100歳以上の人数が134・75人で、9年連続全国1位。美郷町は同372・27人で県内の自治体では、前年に続き2位だった。2019年は352・89人で1位になっており、毎年、上位に食い込んでいる。
一方、町健康福祉課によると、国民健康保険に加入している町民は20年度の特定健診(メタボ健診)受診率が44%で、特に男性の受診率が低い傾向にあるという。
また受診した40~64歳の男性のうち、肥満度を示す指標となるBMI(体格指数)が25以上の肥満は38・9%に上った。糖尿病などの生活習慣病が懸念されるため、町は健康長寿を目指す上で「ゆゆしき事態」としている。
そんな中、「長寿の町」に目をつけたのが、昨年4月に教育施設「フィールドワークセンター」を町内に開設した麻布大(神奈川県)だ。学生たちが地域住民の食生活などの調査を通じて、健康面から長寿の背景やメカニズムを中長期的に研究する計画を立てている。
町は長寿を前向きに捉えて昨年3月、「長寿県長寿町」の商標登録を申請。今年2月14日付で登録され、今月、登録証が届いた。
商標は、農作物や食品・飲料、化粧品など10分類で使用可能で、全国に対しては、健康長寿が強みの町や町産品を広めるためのキャッチフレーズとする。また町内では、受診率アップや食事の見直しなどを呼び掛けるスローガンにする予定だ。
嘉戸隆町長は、「現象面では胸を張って長寿町と言えるが、メカニズムがはっきりしない。要因が明らかになる前段階の今、キャッチフレーズとして使いたい」と話す。「世界の主要国が超高齢化社会に入れば、健康長寿への注目度がさらに増す。健康長寿を魅力として、活性化や知名度向上につなげたい」としている。
町の商標登録は、特産のイノシシ「山くじら」のイラスト2件と、「美肌県美肌町」のキャッチフレーズに続き4件目。
出典:https://www.yomiuri.co.jp/national/20220306-OYT1T50118/