ランスのアパレルブランドのラコステ(Lacoste)が最近になり、中国企業を相手に知的財産権をめぐり争っていた裁判で勝訴したことが分かった。ラコステは10年余り前にも同様の訴訟を起こしたが敗訴したという。中国メディアの界面新聞などが報じた。
ラコステはフランス人のテニス名選手だったルネ・ラコステ氏が1933年に創業した。ワニの姿をロゴマークに選んだのは、同氏に「ル・クロコダイル(ワニ)」のあだ名があったからとされる。ラコステはアジアに進出した際に、香港の香港のCROCODILE GARMENTS (CGL)とシンガポールのLI SENG MING(後にCROCODILE INTERNATIONALの会社名に変更、CI)の2社が、よく似たワニのロゴを使っていることに気付いた。しかし当初は「穏便」に話がつき、アジア側の会社とラコステの「住み分け」が成立し、CGLはラコステ製品の販売代理店にもなった。
問題が発生したの中国大陸市場への進出がきっかけだった。ラコステは80年に中国進出を始め、大陸部でロゴマークの登録も行ったが、CGLとCIには当初、中国大陸に進出する意図はなかった。CGLとCIの関連ビジネスはその後、「Cartelo(カルテロ)」というブランドになり、中国大陸進出も始めた。中国の行政や司法は当初、ロゴマークについて「Cartelo」に有利な判断も示した。カルテロはその後、中国大陸企業の南極電商の傘下に入った。
これまでの報道によれば、ラコステは10年あまり前にカルテロのロゴマークが自社の知的財産権を侵害しているとして、訴訟を起こした。しかし一審の北京高級人民法院(高裁)と中国最高人民法院(最高裁)は2010年と12年に「消費者の混同や誤認を引き起こすことはない」として、ラコステの主張を退けた。ラコステはさらに、カルテロが12年に登録した商標についても、自社の商標に酷似しているとして中国商標評審委員会(現、国家知識産権局)にカルテロの商標登録の無効を訴えたが、退けられた。
中国メディアの界面新聞によると、北京高級人民法院は今年になり、ラコステが起こした新たな訴訟で、ラコステ側の主張を認めた。ただし、同裁判の判決はインターネットで公開されていない状態という。一方で、中国企業の各種情報を扱う天眼査によると、南極電商と関連会社の2社は24年3月13日付で、ラコステに対する賠償金など1505万元(約3億2000万円)の支払いをさせられている。
ラコステによると、北京高級人民法院は1月26日に、ラコステ側の主張を認める判決を言い渡した。裁判所は、ラコステのワニのマークは06年時点ですでに中国で有名になっており、カルテロ側には、ワニのマークでラコステへの評価に便乗しようとする意図が明確にあり、ラコステが保有する商標の合法的権益を侵害しており、小売市場の混乱を招いていると判断したという。なお、ラコステとカルテロの「ワニのロゴ」の主たる違いは、「ラコステのワニ」は右向きで、「カルテロのワニ」は左向きであることだ。
界面新聞によると、カルテロ側に電話取材を試みたが、説明を拒絶されるなどで実現していない。別の報道によると、ラコステ側は判決について、「弊社の合法的権益を有効に保護するだけでなく、知的財産権を保護する中国司法機関の確固たる決意を示している」と評価した。
中国の裁判制度は2審制だ。北京高級人民法院が言い渡したのは2審判決だったので、ラコステの勝訴が確定したことになる。
出典:https://www.recordchina.co.jp/b931845-s25-c20-d0198.html