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2025年4月2日
世界中でChatGPTによるジブリ「風」の画像生成がブームとなり、AIと知的財産権をめぐる論争が再び注目を集めている。経済部(台湾経済省)は、AIが芸術家の「スタイル」を大量に模倣する行為は著作権侵害には当たらないと示した。ただし、AIによる行為が表現の盗用かスタイルの模倣かについて争いがある場合には、裁判所が個別に判断する必要があるとされている。
SNS上では現在、ChatGPTで「ジブリ風」写真を生成する遊びが大流行しており、アップロードした写真がすぐにジブリ風に変換される。この「スタイル」はジブリに限らず、多くの日本の漫画風も再現されており、著作権侵害の懸念や、芸術創作に対する影響も大きいとされている。
台湾知的財産局は、著作権法が保護するのはアイデアやコンセプトの「表現方法」であって、アイデアやコンセプトそのものではないと説明している。たとえば、アニメ作品自体は保護されるが、アニメの「スタイル」は保護の対象ではない。そのため、AIが芸術家のスタイルを模倣する行為は著作権侵害に該当しない可能性があると述べている。ただし、AIが表現を盗用したかどうかについて争いがある場合には、最終的に裁判所の判断に委ねられる。
また、OpenAIなど一部のAI開発企業は、現役の芸術家に似たスタイルの画像生成を制限する保護措置を設けており、これは著作権侵害のリスクを下げる効果があるとされる。
さらに、生成系AIが他人の著作物を大量に利用してAIモデルを訓練していることは、「複製」に該当する可能性がある。しかし、著作権法第65条第2項における「フェアユース(合理的使用)」に該当するかどうかについては、いまだ議論があり、今後も国際的な動向を注視する必要があるとされている。知的財産局は、生成系AI企業が権利者からの許諾を得ることを推奨しており、侵害を避ける手段としている。
出典:https://ec.ltn.com.tw/article/breakingnews/4998671