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アイヌ族文化を振興するために開設された「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は、昨年7月12日に北海道白老町にオープンしたが、開業の4ヶ月前、中国の個人が日本の特許庁に「AINU」を商標登録出願していたことが判明した。
これに対し、アイヌ民族からは「便乗商法ではないか」などと批判が殺到。アイヌ文化に関する相談窓口を担う「阿寒アイヌコンサルン」の広野洋理事長は、「民族を利用した金もうけだろう。国を挙げて反対してほしい」という。
「AINU」の出願人は中国広東省深センの個人で、スマートフォンケースなどを指定商品として商標を登録出願。今年3月、特許庁はついに「AINU」の商標登録を拒否した。同庁は、「AINUが先住民族であるアイヌのローマ字表記と容易に認識させる。商標を独占的に使用することはわが国の社会公共の利益に反し、公序良俗を害する恐れがある」とした。
今回の件は、中国の個人から日本特許庁への商標登録出願だが、日本の地名、特産品などの商標権被害が中国で相次いでいる。ここ数年、日本の自治体や業界団体が中国商標局へ異議申し立てを強化しているが、手遅れになって登録が認められてしまった例もあるので、早期の商標出願が何よりも有効な対策だと考えられる。