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カタログ廃棄処分以前にも…無印良品の中国での「受難」
2018-02-12
 

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カタログ廃棄処分以前にも…無印良品の中国での「受難」

2018-02-12

 河野太郎外相(55)が訪中し、李克強首相(62)や王毅外相(64)との会談を終えて同国を去った翌1月29日、中国は生活雑貨などを販売する日本のブランド「無印良品」を展開する良品計画など8社への“処分”を発表した。

「無印良品の店舗で配布されたカタログに掲載された地図に誤りがあるので廃棄処分を命じたというものです。具体的には海南島と大陸の色が異なること、尖閣諸島(中国では釣魚群島と呼称)などの記載がないこと、台湾の注釈が間違っているといったものです。中国は2016年1月に地図管理条例を施行し、領土への国民の意識を高めるため、社会に公開する地図は関係行政部門で審査を受けなければならないとしました。そして17年8月から全国で“問題地図”整理キャンペーンを行ったのです。今回発表したのは国家測量地理情報局のホームページでした」(外務省担当記者)

“問題地図”とは、日本の無印良品にも置いている商品カタログの巻末に掲載されている中国内の店舗紹介の地図だという。尖閣諸島に無印良品の支店があるならともかく……。

火に炙られるチキンのよう

 むろん、尖閣と聞いては日本政府も黙っているわけにはいかない。菅官房長官はこう反論した。

「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかで、現にわが国は有効支配をしている。したがって尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題は存在はしない。中国側の独自の主張にもとづく措置は全く受け入れられない」

 これを受けて、中国共産党の機関紙・人民日報の系列紙である環球時報が社説で応じた。

《(地図について)問題のある企業は国内外問わずあった。無印良品の中国における状況は一般的なものであり、世論の特別な注意を引くものではない。/無印良品はすでに問題地図を回収し廃棄し終えている。日本の官房長官のこのような大げさな回答が、かえって無印良品の事態を大きくした。もし地図の問題で大騒ぎが続けば、無印良品はより困難な立場に置かれる。無印良品は中日領土の紛争という大きな鍋を背負う立場にはなく、それはまるで火に炙られるチキンのようだ。》(2月1日付)

 確かに処分されたのは昨年(2017年)10月、すでに終わった話かもしれないが、河野外相が中国を発った翌日に発表というやり方は姑息だ。訪中した河野外相は知らなかったのか? 外務省に聞いてみた。

「我々もホームページの発表で認識しました。ですから大臣もご存知なかったと思います。もちろん尖閣諸島はわが国固有の領土ですので、菅官房長官がおっしゃった通りの対応をするまでです。今回の発表は、日本企業は1社のみで、残りの7社は中国企業。昨年はデルタ航空やZARAといった海外企業も指摘されておりますし、日本企業を標的にしたということでもないと思われます。万が一、他の日本企業に対しても続くようでしたら、注意喚起に努めねばならないと考えています」(中国モンゴル第二課)

 訪中前に河野外相が知っていれば、李克強首相に直接文句を言うことができたかもしれない。

「現地では無印良品が対応されたようですし、こちらへの相談といったこともありませんでしたので……」(同・中国モンゴル第二課)

すぐに廃棄しました

 無印良品を展開する良品計画に経緯を聞いてみると、

「昨年(2017年)10月に、重慶市にある弊社店舗で配布される『秋冬家具カタログ』の巻末に掲載されている中国国内の店舗を示す地図に法令違反があると指摘されました。海南島に関しては明らかに弊社のミスで、色の塗り漏れがありました。カタログについては廃棄処分とのことなので、すぐに対応しました。その後、重慶以外のカタログも同じですので、同様に廃棄しました」(良品計画)

 今年の「春夏カタログ」の地図は、どうするのだろうか。

「まだ発行しておりませんので未定ですが、店舗を示しただけものですので、なくてもよい地図なんですね。今後の検討課題です」(同・良品計画)

 中国側は“尖閣を中国領とする地図”を掲載しなければならない、とは言っていない。載せなければ文句を言われる筋合いはないわけだ。

 現在、国内にある無印良品は456店舗。対して海外には約480店舗あり、そのうち中国は230店舗(香港は別会社で19店舗)あるという。国外の無印良品の約半数が中国にあることになる。また1月18日には、世界初の「MUJI HOTEL」を中国深圳に開業したばかりで、今春には北京でもオープン予定という。

 出る杭が打たれたということではないのだろうか。
 
「私どもは単純に法令違反ということなので対応したまでですので、特に日本の政府に相談するといったこともしませんでした。現地の法令には従うべきと考えております」(同・良品計画)

 と、実に淡々と語る。

「中国ではたくさんのお客様が無印良品のファンでいらっしゃいますから。もともと中国では、出店の時から登録商標の件でも法廷で争うなどして来ましたからね」(同・良品計画)

 むしろ、「慣れている」とでも言いたげなのだ。「中国でたびたび受けてきた受難により、無印良品は鍛えられたのではないか」と言うのは経済誌記者だ。

商標裁判で勝訴

「無印良品が中国本土に出店したのは2005年6月のこと。すでに香港には1991年に出店しており、それまでのゴテゴテした、『いかにも中国風』とは一線を画すシンプルなデザインが若者にウケて、その人気は大陸にも飛び火しました」(経済誌記者)

 だが、出店に当たって問題があった。無印良品の人気ぶりに目をつけた香港企業に、衣料部門で“無印良品”と“MUJI”を中国で商標登録されてしまったのだ。

「無印良品は2000年に商標取り消しを求めて裁判に訴えた。その係争中に大陸に出店したわけですが、店には衣料品を置くことができませんでした。裁判は07年に結審し、無印良品の勝訴。あの中国が商標取り消しを認めた初めてのケースと言われています」(同・経済誌記者)

 裁判では商標法第31条「商標の出願は先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で登録してはならない」の解釈を巡って争われたという。中国の裁判所も当たり前の判断ができることにホッとするが、その上で“商標”を“尖閣諸島”に置き換えてみれば、“問題地図”の処分もおかしいことが分かりそうなものだが――。

 それ以降、無印良品は続々と出店をし、年30店舗のペースで増えている。だが、その人気ぶりから出てきたのが、中国名物の偽ブランドだ。

「イタチごっこは今も続いていますが、無印良品が正式にリリースを出したのは08年3月の“中国における『無印良品』『MUJI』ニセ物と非正規商品についての注意喚起”です。工場から出た不合格品の流出と、ニセ物として製造された物が市場に出てしまうことがどうしても阻止できない。そのうえで直営店や正規のネットで買うよう訴えたもので、中国での商売の難しさが分かります。また、この頃には、百貨店にニセ店舗まで出ていたようで、それも百貨店への苦情で解決させたようです」(同・経済誌記者)

 現在、中国人女性に大人気なのが、無印良品の化粧水や乳液で、通販サイトで大量にニセ物が出回っているという。中には本物よりも高い値段で売られているものまであり、かの国の女性向けサイトでは本物とニセ物の見分け方などが記事になったりもしている。

国営放送でデマ

「そして昨年3月15日には、中国国営中央テレビ(CCTV)が放送した、無印良品は放射能汚染地域で作られているという番組です。中国は東日本大震災以降、いまだに日本の放射能汚染地域として10都県(福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、宮城県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都)を指定し、ここで生産れた商品を輸入禁止にしています。CCTVは無印良品やカルビーなどの日本企業を取り上げ、放射能で汚染されているとばかりに批判したのです。無印良品でやり玉に挙げられたのは『ノンカフェイン はと麦&レモングラス』というお茶と『優しい昔菓子 大粒卵ボーロ』。これらを店舗に訪れたレポーターが手に取り、中国語表記のシールを剥がすと東京の住所が書かれている、というのです。当然、無印良品のネットは炎上です。しかし、これにも同社は冷静な対応をします。放送翌日には中国版Twitter『微博』に“記載されているのは本社の住所です”とし、もちろん輸入禁止地域で生産されたものではないこと、原産地証明も当局に出していると声明を発表。当局も検査済みであることを認め、微博には1万件以上のコメントがつき、“MUJIを支持する”といったコメントが溢れたんです。ダンマリを続けるでもなく、感情的にもならず、言うべきことは正規のルートで言うという姿勢が貫かれているように思います」(同・経済誌記者)

 そこまでしないと、かの国では認めてもらえない、というのも難儀な話である。やはり中国相手のビジネスは大変!

出典:http://news.livedoor.com/article/detail/14261005/