商標権者は、登録された指定商品/役務について商標権を取得します。指定商品/役務の出処を正確に示す商標機能により得られる権益を保障するため、同一の商品/役務について登録商標を使用する場合や、類似する商品/役務において登録商標と同一の商標を使用することにより関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合は、商標権者の同意を得なければなりません(商35Ⅱ)。ただし、次に掲げる状況に符合し、自己の商標として使用するのではない場合や、市場の公平な競争や消費者の権益等に影響しない場合は、商標権の効力による拘束を受けません(商36)。
(1)商業取引の慣習に符合する誠実かつ信用できる方法で、自己の氏名、名称、またはその商品/役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地またはその他商品/役務自体に関する説明を表示するが、商標として使用しない場合。たとえば、説明性を有する文字に商品/役務の品質、性質、特性、産地の説明が含まれる場合、電池上に特定のブランドの携帯電話へ適用される旨が表示されている場合、または商品上に特定のブランドの製品または部品を含む指示がある場合。これらの状況に関しては、出処を示す商標使用ではないため、消費者が商品/役務に対し混同誤認するおそれがない場合は、商標権の効力による拘束を受けない。
(2)商品/役務の機能を発揮するために必要な場合。商標の機能性とは、特定の商品/役務のデザインまたは特徴(たとえば、商品の形状、商品のパッケージ、音、色、匂い等)を指し、商品/役務の用途もしくは使用目的にとって欠かせないもの、または商品/役務のコストもしくは品質に影響するものであり、その使用は他人の商標権の効力による拘束を受けない。
(3)他人の商標の登録出願日前に、善意で同一または類似の商標を同一または類似する商品/役務に使用する場合。ただし、それは原使用の商品/役務に限る。その場合、商標権者は当該商標を使用する者に対して、適当な区別表示の付記を要求することができる。
(4)登録商標を付した商品が、商標権者またはその同意を得た者により国内外の市場で取引され流通する場合、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない(例えば、真正品が並行輸入される場合)。ただし、商品が市場で流通した後、商品の変質、毀損が発生するのを防止するため、またはその他正当な事由がある場合は、この限りではない。したがって、商品を輸入する際は、輸入商品のパッケージや商品の状態を任意に変更すべきではなく、「その同意を得た者により国内外の市場で取引され流通する場合」に当てはまらない場合は、ただし書きを付ける。